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FN FNC  STAR Airsoft


 ―栄光無きFALの後継―


 ベルギーのFN社の突撃銃、FNC。FNの傑作自動小銃のFALを小口径化した5.56mm口径の突撃銃です。
 香港のSTAR Airsoft製。買ったのはずいぶん前、6年前だったか?管理人初の18歳用電動ガンです。突撃銃はFNCが一番好きだが製品化されてないのは仕方ない、と思っていたらされていたので金策に苦しんだ末に買いました。
 当時は7、8万円で売ってるお店が多かったですね・・・探し回った末に5万5千円のお店を見つけて買いました。そのお店はもう無くなったらしい。今では5万円する海外製も普通になってきましたが、当時はこのFNCは高級品でした。海外製電動ガンがネットオークションに出始めた頃で、海外製トイガンがあまり知られておらず、100ドルくらいのものが3万円超で落札されていた時代でした。転売屋さんが大儲けしていたあのときに比べると、今は価格が適正化されましたね。エアコキのPPK/SやM1910などアカデミー製品は当時が全盛だったか。当時の海外の通販店では、Jing Gong製品がたくさんあって、M733のフォールディングストック仕様やいろいろなMP5がたくさん売られているなど、売れ筋のガンやレイルカスタムばかりになってきた現在と違って面白かったです。
 FNCのトイガンは、昔アサヒファイヤーアームズがBV式のを出していました。それを電動化された方もいらっしゃいますね。現行品では、G&Gから電動ガンが発売されています。当然、このSTAR製とはいくらか違いがあります(知ってる範囲で後々触れます)。
 FNCの登場作品というと、何をおいても「うぽって!!」でしょうね、銃擬人化アニメで主人公でした。他には「ヨルムンガンド」で主人公のヨナがショートモデルを使ってましたね。

 うぽって!!ではFNCは、サコーRk95相手にえらい目に遭ってましたが、アニメの終盤では多勢に無勢の不利な状況下で安定的な強さを見せ、敵の赤錆の東側の鉄砲を追い詰めました。全く陽の当たらないFNCが主人公というこの作品の存在を知ったときはとても嬉しかったです^^しかし雑誌の連載のみかと思っていたので、雑誌なんか買わないので読むことはできないと思っていましたが、単行本が出ていて読むことができました。それが「うぽって!!」アニメ化の2年近く前か。この作品は出世しましたねぇ。

 映画では、「ヒート」(マイケル・マン監督、アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロ主演)で刑事のヴィンセント・ハナ役のアル・パチーノがショートモデルを使ってました。警察用モデルなのかセミオートで撃ってましたね。最後の発砲でマイケル・チェリート(トム・サイズモア)を倒したのがとても印象的でしたね^^



 では実銃の話、うぽって!!でご存知の方が多いかと思いますが、書きます。
 前述の通り、FNCは世界に名立たるFN FALの小口径化モデルです。7.62mmNATOの代表格のひとつのFALは世界50カ国以上に採用されていましたが、1960年代、7.62mmNATO弾の使用を押し切った本人のアメリカが5.56mm弾のM16を使用し始めたため、世界に突撃銃の小口径化の波が起こりました。FN社はFALを小口径化したFN CALを作りますが、強度不足によりトライアル中に事故を起こします(どこのトライアルでどんな事故かは知りませんが)。FALは削り出し加工の丈夫な銃でしたが、CALは鋳造やプレス加工の多用のために耐久性がなかったようです。
 そしてそのCALの失敗を考慮して作られたのがFNCです。スチールプレスのアッパーレシーバーとアルミ削り出しのロアレシーバーのおかげで丈夫な割に軽量、フォールディングストック標準装備による取り回しの良さ、良い命中精度、と優れた突撃銃となりました。
 しかし採用されたのはベルギーと、インドネシアとスウェーデンだけでした(どちらも独自モデルをライセンス製造)。それでも、FNC用の弾薬として作られたSS109は、.223Remingtonに代わる新たな5.56mm×45の制式弾として各国に採用されることとなりました。
 開発が1876年と小口径化が始まってから遅かった、頑強な設計のために高価になった、そのためにM16に先を越されて採用の空き枠がどこにもなかった、というのが通説です。FNがFALのシェアの上にあぐらをかいていて流れに乗り遅れた、とか、FNの営業の失敗、とよく言われるようです。

 ↑これだけならこんなに長々と書きません、SG550のように「どうせ皆『うぽって!!』で知ってるから」と端折ってます。しかし、少々付け焼刃ながら自説を述べるのです
 M16に負けた、とか言われますが、M16の採用国ってどれだけあるでしょう?アメリカ、カナダ(ディマコ社のライセンス生産)、フィリピン、昔の韓国(80年代までA1をライセンス生産)、台湾(違法かライセンスか知らないがコピー生産)、イスラエル(ナム戦後にアメリカから余剰のA1を大安売りしてもらう)、グレートブリテン(海兵隊等がディマコ社製を使用)、というところでしょうか。少ないということはないですが国はこれで全部ではないので、これらの制式をM16に取られたからといって「もうダメだ」ということはなかったでしょう。それにM16は、バレルのツイストを新しい5.56mmNATOのSS109に対応させるためにM16A2が新採用されているので、「開発時期が遅い」せいでM16にシェアを取られたということはないのではないでしょうか。
 そして、M16以外の.223口径の突撃銃ですが、先進国では、ブリテンのL85、フランスのFA-MAS、ドイツのG36、オーストリアのAUG、イタリアのAR70、日本の89式、等があります。FA-MASとAUGは1977年採用なので当てはまりませんが、FNC完成よりもずっと後に採用されたものがありますよね。SS109の登場によりそれまで研究していた独自弾を捨ててSS109対応のL85の試作を作ったイギリス、1990年代までG3を使用し共同作戦ではFA-MASを借りていたドイツ、などの動きを考えると、各国は独自開発にこだわって採用しなかったのであり、「FNCの登場次期が遅かった」のではなかったのではないでしょうか。

 英や独はプライドが高いので他国製を使うことは認めず、時季に拘わらずFNCの採用を考えなかったかもしれません(M16も採用してませんしね)、だとすると「開発時期が遅かった」の通説に異を唱える私の説の根拠にはならないかもしれませんね。そこでもうひとつ。
 ブラジルのメーカー、インベルのMDという突撃銃のシリーズがあります。インベルのライセンス生産のFALを基に5.56mmNATO弾仕様に小口径化したものです、FNCを買わずに勝手に作ったのですね。MDのようなコピーではないですが、アルゼンチンのFARA83やインドのINSASなど、元のFAL採用国が自国で開発を行いました(インドのFALは違法コピーですが)。英独等先進国だけでなく、いろいろな国が自国開発にこだわったために売れなかった、のではないでしょうか。ですがそれらの銃もFNCと同じような採用具合なので、FNCが特段ダメということもないですよね。前作のFALが強すぎたためにイマイチに見えるだけか。

 FNCがなぜ売れなかったかについてはこんなところで。いつになく長いですが、実銃について、まだ続きます
 天才銃工のジョン・モーゼス・ブローニング(英語の発音に近いのはブラウニング)は、ブローニング・ハイパワーを設計して1926年に他界します。そのハイパワーを完成させたのが、弟子のデュードネ・J・サイーヴ(現地読みに近いのはデュードンヌ・J・セヴ?)です。このデュードネ・J・サイーヴはFN版M1ガーランドとでも言えそうな?SAFN49を開発します(ロテイティングボルトのガーランドと違ってSAFNはティルティングボルト)。さらにそのSAFN49を基にして、傑作のFN FALを作り出します。そのFALの小口径版のFN CALを作ったのが、デュードネ・J・サイーヴの助手のエルネスト(アーネスト?)・ヴェルヴィエです。そしてFN CALは改良されFN FNCとなります(日本語版Wikipediaではヴェルイエを含むチームがCALからFNCへの開発を行ったとありますが、他の媒体では確認できず)。だいぶ変わっているとはいえそのFNCを基にして、現在の新型突撃銃の中では成功したほうだと思われる、FN SCARが作られました。ジョン・ブローニングから現用のSCARまで続く血統、すごいと思いませんか?
 ちなみに、作動方式は、SAFN49とFALがティルティングボルト、CALとFNC、SCARがロテイティングボルトです。この系列でFNCだけはロングストローク・ガスピストンで、他の4種はショートストローク・ガスピストンのようです。



 では各部の説明。バレル先端。穴3つが4列のフラッシュハイダー、着剣ラグ、陰になって見えないがスリングスイベルがある



 ハンドガード周辺。バレルとガスシリンダーを覆うヒートガードが格好いい
 砂漠での放熱を考慮されたイスラエル仕様のFALのハンドガードが基になっている。同じロングストローク・ガスピストン方式にあって、AK47がここをハンドガードで閉じきったために放熱の悪さを抱えてしまったことを考えると、この措置は放熱効率についてとても有効に見える

 現在も流通しているのかは知らないが、オプションで15000円のレイルハンドガードがあった



 ハンドガードを外すとバッテリーケースになっている。ミニのセパレートバッテリーが一番入りやすい、ミニSバッテリーではなかなか閉じられなくて苦労する
 ハンドガードはAR15と同じように、スプリングを内蔵した後ろのリングで止まる。

 アサヒ製とG&G製のハンドガードはこのようには外れない。ハンドガードが穴ぼこのヒートガードと一緒に左右に割れる。



 フロントサイト。可倒式のグレネードランチャー用のサイトが付いている



 レシーバー左側。1、3、Aとセレクターがあるがこれは特許抵触回避のため?の日本仕様なのでフルオートオンリー。グリップを持った手では指が届かず、セレクターをフルオートに合わせられない。3には合わせられるがそこから戻せない。本来セミオートの1でフルオートができるようになるので、フルオートオンリーで幸いした
 アッパーレシーバー下端には溶接痕が再現してある

 アッパーレシーバーの上にはマウントベースが付けられる、レイルハンドガード同様今も売ってるのか知らないが5千円だったはず



 アッパーレシーバーにある刻印。うれしいことにFNエルスタルのロゴがある、トイガンでは珍しい(ですよね)



 グリップ、ミニミと同じようなもの。セレクターレバーの通り道のようにへこんだスペースがあるが、ここはへこんでいなくてもセレクターが干渉したりはしない。ミニミはフルオートのみなので単射と連射の切り替えは必要なく、セフティは散弾銃のクロスボルト式のような左右に押すボタンでありセレクターレバーは存在しないので、このへこみは尚更必要ない。

  「うぽって!!」に登場した仕様と違って、グリップには滑り止めの筋彫りがあり、トリガーガードはミトン・厚手の手袋を着けていても撃てるように大型化されている。
 G&Gとはグリップの筋彫りの角度とセレクターの形が違う。



 レシーバー右側。のっぺりしている。M16のようなリブがないため、誤って押さないようにするためか弾倉キャッチのボタンが低い
 実銃のマニュアルによると、実銃ではリアサイトの下のほうにある一番後ろのピンを抜けば中折れして分解できる。しかしこれは電動ガンなので当然ながら、分解するにはピン数本とグリップ底のネジを外さないといけない

「うぽって!!」の天王寺先生はレシーバー後端を「どっしりしたお尻を連想させる」と評していたが、これはFALの意匠を受け継いだからこそ、だと思う。



 メカメカしいとよく言われる、コッキングレバーとダストカバー。かなり簡素ながら、ミニミも同じ構造のダストカバーが付いている



 コッキングレバーを引くとホップアップダイヤルが現れる。メカボックスは透明のポリカーボネイト製。18歳用電動ガンのメカボックスが樹脂製というのは強度に疑問があるかもしれないが、必要十分の強度はある模様。Star Airsoftのページによると、同社製ミニミのメカボックスは、東京マルイの2倍の強度のスプリングを入れて1時間連続で動かすという試験を行ったらしい



 リアサイト、鋳造品そのままで仕上げが悪いとしばしば言われるらしい。横のツマミを回すと左右の調整ができる



 FNCの特徴のひとつ、標準装備のフォールディングストック。右利き用にキャストオフされている。金属製なので衝撃を和らげるものがないため、実銃では発射の衝撃がきついのだとか何とか。
 ミニミスタンダードも同じような形のストックがついているが、折り畳みできない(パラトルーパーモデルは折り畳みストックが付いているが、形が全然違う)。
 実銃では固定ストックのバージョンも存在する、そちらのストックはFALのものとそっくり。



 ここを押し下げてストックのロックを解除する。けっこう固いが、その分信頼性がある。



 金属そのままでラバーなどはないストックバット。FNCのらしさのひとつとして気に入っている



 M16と同様の弾倉。スプリング給弾、130発。



 他の画像では光の反射具合でえらくきれいに見えるが、実際はこのように傷がある



 弾倉の前後には、点溶接の痕がある



 ストックを閉じたところ。この姿も格好いい



 L1A1と一緒に。FN純正のFALではなくて英国製クローンのL1なので、個々の部品の形ではあまり共通点は見つけられないかもしれない。アッパーレシーバーとL字型のロアレシーバー(右側から見て)の構成はFALと同じ
 FALはほっそりとしているが、FNCはゴツい印象がある


  
 カッコ良すぎてボツにできなかった画像をご覧ください



 実射について。海外製ですが、調整していないので、当たりにくいです。狙うよりもだいぶ上に飛びます。
 日本仕様のためか、最初はとても弱いスプリングが入っていました。8mくらいで段ボール板を貫通するかしないかというくらい。初の電動ガンだったので、電動ガンとはこんなに弱いのか、とガッカリしました。その後マルイのピストンとスプリングのセットを買って、メカボックスを分解して組み込みました。…実はこのガンのメカボックスは分解せずにスプリングだけを交換できるのですが、初めての電動ガンだったためそんなことは知りませんでした。
 上に当たるので、狙って当てるのは難しいですが、フルオートオンリーなので狙撃するガンでもない、と思ってます。



 では総評。管理人の一番好きな突撃銃、とても格好良い外見で、構えたときのバランスも良いです。しっかりと作られていて、実銃の良さを再現してくれています。レビューというのは全長など実銃のデータの数字以外は個人的意見の塊でしょうけど、今回は特に市場は要りまくりです。…私情入りまくりです。構えた感覚なんか、慣れと体の大きさで変わりますからね。市場ではあまり見かけなくなった製品ですけど。
 具体的にどういうところがいいかと言うと、今では普通になりましたがフルメタルの外装で剛性があり、その外装は仕上げがきれいです(ただしリアサイトベースなど鋳造部品は除く)。アウターバレルやストックのパイプ、黒塗りのロアレシーバーが光を反射して鈍く光るのがいいですね。ロアレシーバーは画像では青っぽく見えてますね。艶消しが多い軍用銃ではこんな表面仕上げは珍しいでしょう。
 やはりメカボックスの強度を気にする人は多いでしょうか。プラスチックで色が透明というのが不安を煽るかもしれませんが、ポリカーボネイト製なので必要十分の強度はあるようです。もっとも自分で壊す実験をしたのではありませんが、今のところ破損はありません。

 もっといろいろ書くつもりだったのですが浮かびません、このライフルはやはりカッコいいの一言です。一級の性能がありながら、軍や公的機関の採用実績があまり無く、映画で主役と共に活躍したこともあまりない不運な銃ですが、私は好きです。私はメジャーなものを好まない性格ですから、FNCの不運のおかげであまり人と被らない格好いいガンに巡り会えたと思ってます(笑)もしもFNCが華々しい実績を得て人気モデルになっていたら、このページで紹介してはいなかったかもしれませんね。
 私はFNの銃が好きです。そしてこのFNCは一番好きな突撃銃です。このガンは、海外製トイガンが日本に出回る初期に作られた、ちゃんと動いてきれいな外装を持つ格好いいアサルトライフルです。
 長々と読んで頂きありがとうございました。特に実銃の話が、こんなに長くなるとは思わなかった…


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