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〜一次戦の引き金〜

韓国のアカデミー製の10歳用エアコッキングガン。10年くらい前に流通した、出来がよくて面白いラインナップを誇った製品でした。そのうちのひとつのM1910です。 FN製の拳銃はあまり種類が多くないのでM1910は押さえておかないといけません。昔店頭で売られていたときに買っておくべきだった・・・と思っていたら中古品を偶然安く見つけたので買いました。 とても小さい銃です。持っていて邪魔になりません、異物を持っているという感覚がありません。エアコキで軽いからでしょうかね
 実銃はFNのベストセラーの小型自動拳銃です。設計はジョン・モーゼス・ブローニング、口径は.32ACPと.380ACP、グリップセフティとマガジンセフティを備え、引っかかる部位の少ないスナッフグルーブデザインをとっているので一般人の携帯には良さそうです。 戦前は日本にも大量に輸入され、旧日本軍将校の拳銃として多く使われました。サラエボ事件のオーストリア皇太子暗殺にこの銃が使用され、第一次世界大戦の発端となっています。戦後の日本では犯罪者に多く使われたようです(トカレフのほうが印象強いですが)。
映画での登場は、・・・・・・そういえば見たことありません^^;昔の何かのドラマ(「海を撃った日」ってサブタイトルでした)では犯罪者が持ってるのを見ました。 小説ではハードボイルドによく出てきますね。大藪晴彦作品でもよく出てきますが、だいたいは敵が持ってます(たまに主人公の仲間が使ってますが)。しばしば、ありきたりなブローニングだ、なんて不名誉な紹介をされます。「無法街の死」では気絶した仲間の奪われたM1910を主人公が「愛用銃だろうから」と取り戻しに行ってやるシーンがありました。大藪作品では主人公はこの大きさの銃はマウザーHScやワルサーPPKを使うことが多いですね。
ライトノベルの「アリソン」では主人公のアリソンが使ってました。1巻の最初のほうで脅し(放火犯の尋問だったか?)に使うシーンでは弾倉を抜いていたと思いますが、マガジンセフティで誤射の心配がないという演出だったのでしょう。
ジョン・ブローニングが設計した銃で、ブローニングM1910とよく言われます。ジョン・ブローニングが作った銃は数あれど、「ブローニング」の名を代名詞とするのが一番似合うのはこのM1910ではないでしょうか。自動拳銃なら、コルトM1911はガバメント等(他G.I.コルトとか)、FN・M1935はハイパワー、軽機関銃のM918はBAR、など愛称がありますよね。自動散弾銃のオート5は「ブロー」と呼ばれたという認識でしたが調べても出てきません。大藪晴彦の「無法街の死」では”ブロー”と呼ばれていましたが。ウィンチェスター銃もM1886以降にブローニングが設計したようですが、設計者が銃の名前となったのはM1860ヘンリーの時期くらいまでなのでブローニングの名前は冠されていません。まぁウィンチェスター銃はウィンチェスターと呼ばれて然るべきですね。・・・この人、何でも作ってますね。ご存命の時期のほぼ全てはこの人の作じゃないかって気がしてきます。 このように他のブローニングの設計の銃には違う名前が付いています。消去法ではありませんが、他にふさわしい名前を持っている他の銃と違い、このM1910は”ブローニング”の一言で呼ばれるのが似合うでしょう。

では各部の説明、いつも通り前から。マズルブッシングは金属製部品、メッキの銀色、「安っぽい」と言われることもあるがこれもアカデミーらしさ。上には小さいフロントサイトがある。 アウターバレルはグリップと同じ茶色

特徴的なスライド先端、角を落として丸くしてある。
 裏側にはネジ

スライドの刻印。ロゴがいくらか足りないが、実銃と同じ文になっている。トリガーの上にあるトリガーピンの端を収めるスペースは実銃にはない

排莢口はモールドで開かない、この大きさと定価千円くらいという価格では仕方がない。 口径9mmとなっているが、これは9mmパラベラムとの間違いなのか、それとも直径がだいたい9mmの.380ACP仕様ということなのか?

セフティレバーの反対側にはネジ。その横には韓国の業界団体らしきKSGのロゴ、小さくてありがたい
 セフティレバーは画像のように上に上げると安全状態になる。 グリップはFNの大きなロゴがあってうれしい。 トリガーはガバメントのような形をしているが、真後ろに平行移動するガバとは違ってトリガーピンを中心にして回転するように動く。どちらが正しいのかは知らない(わざわざトリガーピンのスペースを増設しているので、ガバ方式が正解か?) グリップセフティは本体と一体のモールド。マガジンセフティも当然ながら無い
 リアサイト、小さい。引っかかりを無くすスナッフグルーブデザインのため、スライドの上の溝のなかにフロントサイトとリアサイトが埋め込まれるようになっている。そのためとても狙いにくい、既に手元に無いが同社製コルト25Tのほうが狙い易かったような気がする
 溝には光の反射の防止のためのセレーションがある
 マガジン、コンチネンタルタイプとかいうグリップ後ろの弾倉キャッチで留める。その弾倉キャッチがコルト25Tと同様に弾倉に付いている、コスト削減のためか?素材のプラスチックもグリップと同じ色。
 親戚のハイパワーと一緒に。大型拳銃のなかではコンパクトなハイパワーも「超大型拳銃」と書かれることがあるが、M1910を基準とすれば“超大型”かもしれない。 あとはブローニングベビーがあれば…
では実射について。10歳用の弾がないので正しい命中精度についてはわかりません。0.2g弾を撃ちましたが、当然ながらすぐに地面に落ちます。普段の射距離の18、19メートルを飛ばすには仰角をつけて撃たないといけません。 グリップもスライドも小さいのでコッキングをしやすくはないですね。10歳用だからと舐めてかかると、グリップを掴んだ手の親指と人差し指の間を痛めそうです。
総評、小さくて面白いです。実射性能がどうとか言うものではありませんね。 重さもなくかさばらないので持っていて邪魔にならず、手に馴染みます。PC前に座っているときなどに触れるように手近に置いておくと良いでしょう。私はよくトリガーガードに人差し指を通してくるくる回してます(同じことやってもし落としたり暴発したりしても知りませんよ^^;)。エアコキなので弾さえあればいつでも撃てるというのも、邪魔にならない大きさと相まってお手軽感がありますね。 加えて私にとってはブローニングM1910であるということが大事ですね。他に弾の出るトイガンではマルシン製の固定ガスガンだけですから、作動の確実性とガス代を考えるとこれが丁度いいモデルでしょう。種類の少ないFN拳銃のうちのひとつ、ハードボイルド小説でよく出てきて歴史の一幕でも登場したM1910を手に入れられたのでうれしく思います。他のFN拳銃はマルイ製のファイブセブンのガスBLKがありますがあれは畑違い、あとはアカデミーのブローニングベビーを見つけられたらいいですね。
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